繊細すぎて使えない言葉②

前回に引き続き、なんか違和感があって使えない言葉たちが溜まってきたので、なぜ使うのに抵抗があるのかだらだらと考察してみたいと思う。

気が利かない

仕事なんかで上司が部下に使うシーンをよく見るこの言葉。私は一度も使ったことがないばかりか、なんか使いたくないもやもやした気持ちを感じていた。

その理由として、この言葉が他者に対する攻撃性を持つという側面はもちろんある。しかし、それだけではない。

上司のような目上の人が目下の人に対して気が利かないという発言をする場合は「詳しくは説明していないけど、それくらいのことは自分で考えて行動しろ」というニュアンスを含む。

それは、言い換えれば「自分の説明責任や指導責任を果たしていない割に、相手の責任は追及する」という意味に感じられる。

相手に対して気が利かないと思うのであればそれを口にするのではなく、丁寧に説明したり教えたりする方がよほど建設的だと思うのだ。

二者間で物事がうまく進まない理由をどちらか一方のせいにだけするというのが、私はどうも苦手だ。

そもそも、日本の中でも多様性、国際性が認められる現代において、相手に対するハイコンテクストな意味合いの押し付けはそろそろ脱出したほうがいいように思う。

頭をつかえ

割と年齢が上の方のおじさんたちから聞くことが多いこの言葉。これも気が利かないと同じような違和感を感じる。

相手が物事をうまく進められない時に「もっと頭をつかえ」という指導をしてアイデアが浮かんでくるはずがない。

相手がうまくできないのは、指導や説明が不足だからという側面がある。そこを丁寧に教えることが相手に必要なことであって、感情的に罵倒しても、相手は決して頭が良くならないばかりか信頼関係にヒビが入るだろう。

「頭をつかえ」という人こそ頭を使うべきだという意味で、この言葉が持つ意味は「自分は無能です」に近いと思っている。すごく辛辣だが…。

大抵のことは丁寧に教えればできるようになるのだから、こういう言葉には気をつけた方がいいと思う。

「気が利かない」や「頭をつかえ」という言葉を多用する頃には、問題を自分ではなく相手のせいにする感情の癖が形成されているだろう。その感情の癖はあらゆる人間関係の障害になる。恐ろしい。

〜して下さい

これは私が繊細かつチキンだからだと思うが、「〜して下さい」は結構言いづらい。「〜してもらえますか?」「〜してくださると助かります」などのもっと柔らかい表現じゃないと使えないのだ。

「〜して下さい」は相手を強制するようなニュアンスを自分の中で感じており、自分の中でなんとなくキツいと思ってしまうのだ。

かと言って、「〜して下さい」と言われるのが別に嫌なわけではない。この言葉に関しては、自分が使うのに抵抗があるだけだ。

「結構です」とか「〜して下さい」と言える人たちを見ながら、自分とは違う感性を持っているのだなーと感心してしまうのだ。まぁ、そっちの方が圧倒的に多いか。

調子に乗る

誰かに対して「あの人調子に乗りすぎ」とか「あまり調子に乗るなよ」みたいな発言を聞くことがある。

これも非常に苦手な表現だ。

うまく説明できる自信はないのだが、その言葉に「その人を見下す」「その人を自分より下だと思いたい」といった、他者との比較で自分のアイデンティティを強めたいという感情が入り込んでいることが多い気がするのだ。

同じく使わない言葉で「勝ち組(負け組)」のような言葉もあるのだが、それに近いかもしれない。

恐らくこの手の比較を助長する言葉を用いれば用いるほど、他社と自分を比較をした時についてくる感情も癖になる。例えば優越感や劣等感、妬み、などだ。

もちろん人生において優越感が重要だと考える人もいるだろう。それは個々人の考え方次第だ。

言葉の背後の感情

今までと違う人間関係ができると、相手の使っている言葉が自分の周りの人が使わない言葉であることがある。

言葉の背後には感情がある。特定の感情にならなければ使いにくい言葉もある。そういうところから人間観察をするのも面白いなーと思う。

と偉そうなことを言いながら、繊細すぎて言葉選びすぎているチキンとしての自分を強く自覚するばかりだ…。

繊細すぎて使えない言葉

2020年6月15日

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ABOUTこの記事をかいた人

IQ155オーバーだが、自信があるのはEQ(心の知能指数)の方で、繊細な感受性の持ち主。 大学時代に週末はあらゆる大学生と人生を語り合うことに費やした結果、人を見下していた尖り切った人生から、人の感情を共感し理解する相談役の人生へとコペルニクス的転回を果たす。 これからの時代は感情の時代になると確信しており、感情のあり方が幸せに直結するとの考えから、複雑な感情の流れを論理的に整理することに挑戦している。 モットーは Make the invisible visible 詳しい自己紹介はこちら