私どうせ何やってもダメという方へ

「私はどうせ何をやってもうまくいかないんです。今までもそうでした。」

カウンセリングをやっていると、たまにこの手の発言をされることがありました。とても悲劇的な思考の割に本人の確信はとても強い、このやっかいな信念を私は勝手に悲劇のヒロイン症候群と呼んでいました。

今回は、こういった性質に対して認知行動療法という手法を切り開いた、アメリカの心理学者であるアルバート・エリスについて紹介し、私なりにこの現象について考察します。

ネガティブな非合理的思考の発見

エリスは、精神分析家としてのキャリアの中で、長期にわたる感情的問題の大半が非合理的思考からくるものだと発見しました。

よくあるパターンとしては、起こった出来事に対して極端にネガティブな結論を引き出す傾向です。例えば仕事を失った人が、自分が解雇されたということは、人としての価値は無い。この先も決して再就職などできるはずがない。という解釈をしてしまうことがあります。

それに対してエリスは、一時的な悲しみやフラストレーションなどの感情が時に必要であることは否定しないものの、出来事を合理的に認知し、意味のある解釈をすることに重きを置きます。冷静に考えて、次の仕事の可能性などいくらでもあるし、前の仕事は単に自分にあっていなかっただけかもしれません。

こうしてネガティブな信念を取り払い、合理的な思考へ転換させるエリスの理論は、今日知られている認知行動療法の最初の型を作り上げました。

人々も出来事も私たちをダメにしたりはしない。むしろ私たちは、自分がダメになってしまうと信じこんでしまうことで、自分をダメにしてしまう

アルバート・エリス

解釈が感情を生む

「私はどうせいつも独りなんだ」
「私は頑張っても報われないんだ」
「これまで良いことなんて一度もなかった」

こういった強いネガティブな信念は、その後の人生のポジティブな出来事を大きく遠ざけます。信念という言葉がわかりにくければ、解釈という言葉がより自然かもしれません。

私たちは普段起こる出来事や現象自体が自分に感情を直接与えているかのように感じやすいです。恋人に嫌われたから人生絶望だとかとか受験に失敗したから負け組だとか全て繋がっているように見えて、実は解釈次第です。恋人に嫌われたことで自分自身を見直すきっかけになり次に良い人に出会うこともあります。受験で失敗した後の浪人時代の経験が良かったという人も何人も見てきました。

成功者の伝記や自叙伝を見ると、一般人から見ると考えられないほどの苦労や挫折を経験していることがあるのはよく知られていると思います。彼らの信念や解釈はポジティブで、未来の可能性を否定しません。

過去は変えられる

過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分だけ。

という言葉を耳にすることがありますが、私は過去は変えられると思っていますし、変えてきた人を多く見てきました。どういうことかというと、ネガティブなイメージの強い過去は解釈しだいでいくらでもポジティブな過去になりうるという意味です。

貧乏だった、いじめられた、孤独だった…こういった過去は解釈しだいで、今の自分を築く上でなくてはならない過去になり得ます。

こういう考え方は本当は学校で一番教えなければならない内容だと思うのですが、現状では鬱や精神的な疾患を伴った人に限定的な療法としてしか伝えられないのが個人的には残念でなりません。

自分を不幸だと嘆く前に、少しずつでも、解釈…変えてみませんか?

参考・引用
キャサリン・コーリン 『心理学大図鑑』三省堂 2016

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

IQ155オーバーだが、自信があるのはEQ(心の知能指数)の方で、繊細な感受性の持ち主。 大学時代に週末はあらゆる大学生と人生を語り合うことに費やした結果、人を見下していた尖り切った人生から、人の感情を共感し理解する相談役の人生へとコペルニクス的転回を果たす。 これからの時代は感情の時代になると確信しており、感情のあり方が幸せに直結するとの考えから、複雑な感情の流れを論理的に整理することに挑戦している。 モットーは Make the invisible visible