世界が美しく見える人と見えない人

あるがままの美しさ

あなたは、桜の花びらの1枚1枚を観察して味わったことはありますか?毎年季節だからとなんとなく集合体として見るのではなく、その個体独特の美しさに陶酔したことはありますか?

先月会った25歳くらいの青年が、自然の美しさについて語ってくれたのを今でもよく覚えています。

彼は、花や草1つ1つを細かく観察し、桜やコケの種類や分類としての特徴を見るのではなく、そこにある個体そのものを味わうことがどれほど素晴らしいかということを私に説いてきました。

尾瀬の歩道の下に生えている草を見るために寝そべるようにして観察していた彼。周りには奇異に映ったでしょうが、彼は人知れず感動していました。彼はどこに行ってもその植物を目で見るだけでは飽き足らず、拡大しながら写真にとって観察したり、時には家にまで持って帰って綺麗に飾りながら育てていました。

あるがままを邪魔するパターン認識

人は10歳ごろから、物事をあるがままに見るよりも今までのパターンから認識する傾向が強くなるようで、とても美しい自然があったとしても、毎年のように見ていれば、パターンとして固まっていきます。いつしか、目の前にある桜の美しさを味わうこともなく、いつもの桜というパターンの認識で満足してしまうようです。

また、絵を描くときも、描く対象そのものを見る癖がなく、今までのパターン…目はこんな感じで鼻はだいたいこんな形…自分の中に記憶されている引き出しから引き出そうとする大人は上達がなかなか難しいようです。

人間をパターンとしてみてしまう

さて、ここまでは自然や絵に対する見方に触れましたが、人間に対しても、パターンとして認識することが多いと主張したらどれくらいの方が納得されるでしょうか。

少し考えてみたいと思います。皆さんは人の細かい変化にどのくらい気づけますか?もし、身近な人が少し髪を切ったことに確実に気づけるような方は、人の外見をそのごとくに捉えている人です。経験則だと芸術的な感性を持っている方が多く、中には信じられないくらい細かい違いにすぐ気付く方もいます。

逆に、もし周りの人の髪型や服装などの細かい変化にほとんど気づかないようであれば、その人は人に対する見方がパターン認識である傾向が強いはずです。言い換えれば、その人そのものを見ていません。パターン認識の傾向が強い人は、あるがままを見ることが出来るようになると、芸術的な感性が磨かれ、世界が違って見えます。

さらにパターン認識が厄介なのは、人の内面までもパターンで判断しようとすることです。ここが今回のテーマなので、具体的な例で説明します。

人の内面さえもパターン化する

カウンセリングをやっていると、「他の人にも相談したのに話が通じなかった」という人が多く存在します。ある意味私はその尻拭いのようなことをよくやっていました。

そういう人達が言うには、「話半ばで内容をまとめられてあまり話を聞く気がないように感じる」「辛い内容を話すと、自分もそうでしたと言ってくるが、聞いてみると同じ状況には到底思えない」「初めから相手の言いたい結論は決まっていて、私の話に関係なくそれを押し付けられる感じがする」という反応が見られます。

つまり、自分自身の人生経験や、見てきた人に目の前の人を当てはめて、無意識のうちにこのパターンはこうだからと認識し、相手に対する見方やアドバイスが固まっていくのだと思います。その上、年齢が上がるにつれて人生経験や出会う人の数が増えるわけですから、それだけパターンに当てはめやすくなる。そこに年齢や専門性の差が加わると、より上の人からの意見がしやすくなり、下からの反論はしにくくなるので、パターン認識が解けにくくなります。

フィルターをなくす努力

残念ながら、自分の人生経験をある意味で否定した見方をするというのは、人間にとって難しいですが、努力次第で変えることができます。

その努力とは、パターン認識というフィルターを意識的に外す練習をすることです。人と対している時に「自分だったらこうするのになぁ」「この人多分こういう人だな」と考えるのを一旦やめ、自分というフィルターを外して、その人の気持ちになりきってみる。ビジネスと違って結論やまとめは一旦放棄して構いません。

そうすると、自分の経験では測れないその人独特の感性が伝わるようになってきて、その人をそのごとくに見ることができるようになります。あたかも、いつも会う人間をなんとなく判断して通り過ぎるのではなく、髪型や服装の変化や雰囲気の変化に注目して気づくような感覚です。

そうすると、いつも見る景色、出会う人に変化を感じ始め、その些細な変化を不思議に感じたり美しく感じるようになるはずです。

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ABOUTこの記事をかいた人

IQ155オーバーだが、自信があるのはEQ(心の知能指数)の方で、繊細な感受性の持ち主。 大学時代に週末はあらゆる大学生と人生を語り合うことに費やした結果、人を見下していた尖り切った人生から、人の感情を共感し理解する相談役の人生へとコペルニクス的転回を果たす。 これからの時代は感情の時代になると確信しており、感情のあり方が幸せに直結するとの考えから、複雑な感情の流れを論理的に整理することに挑戦している。 モットーは Make the invisible visible