アイデンティティが人生を決める

アイデンティティとは

突然ですが、皆さんの人生が幸せで豊かなものになるために重要な要素は何だと思いますか?

1つだけを答えるのはとても難しいですが、私が考える最も重要な要素の1つは「アイデンティティ」です。どういうアイデンティティを持っているかで、その人の考え方及び、新しい考え方に柔軟になれるかが決まると思っているからです。そんなわけで、今回はアイデンティティについて1から考えていきます。

アイデンティティとは何でしょうか。自分は日本人である、男である、というような、自分か何者であるのかという部分をアイデンティティと言います。その中で今回取り上げるアイデンティティは、自分という存在を肯定的に形成しているアイデンティティについてです。

さぁ、考えてみましょう。この質問を考えてみるとわかりやすいです。「皆さんが誇れるものは何でしょうか?」答えは人によって様々でしょう。一流企業で活躍していることかもしれませんし、素晴らしい妻がいることかもしれないし、容姿端麗なことかもしれません。どれも本人にとっては正解であり、良いも悪いもありません。少しだけ考えてみて、皆さんの中で大切にしているアイデンティティを明確にしてみてください。

2種類のアイデンティティ

その次にそのアイデンティティを大きく2つに分類します。

1つ目は、自分の頑張りや努力に関わらず、ありのままの自分を肯定してくれるようなアイデンティティです。この種のアイデンティティは変動性が低く、形成難易度が高いという特徴があります。シンプルに言うと、家族や友人などの、自分が大変な状況に陥ったとしても変わらない、切っても切れない信頼関係などがこれに当たります。

2つ目は、自分の頑張り屋努力次第で獲得可能なアイデンティティです。この種のアイデンティティは、変動性が大きく、形成難易度は内容によってグラデーションがあるのですが、1つ目に比べたら低いという特徴があります。こちらは簡単に言うならば、お金や学歴、肩書きや容姿など、努力して手に入れることでわかりやすく評価されるものの、変動性が大きいため自分の状況次第で評価を失いやすいものでもあります。また、人間関係の中で最初に判断される材料などでなりやすいという意味で重要になるアイデンティティです。

この2つの違いを考えるために、事例を考えてみます。

あなたは東京近辺に住むサラリーマンです。今朝通勤のために満員電車に乗ったところ、残念なことに痴漢に間違われてしまいました。被害者の女性は大変感情的になっており、駅員さんにも捕まってしまったため、客観的に冤罪を立証することは極めて難しくなり、そのまま罪を科せられました。

事件はたちまち自分の周りに広がり、仕事はクビになり、恋人や友人知人たちが知るところとなった結果、自分の元を離れていきます。学生時代から積み上げた学歴やキャリアも意味をなさなくなり、仕事を失ったことから、経済的にも厳しい状況に追い込まれました。

さて、この状況であなたに残ったものが1つ目のアイデンティティで、失ったものが2つ目のアイデンティティです。便宜上、1つ目のアイデンティティを絶対的アイデンティティ、2つ目のアイデンティティを相対的アイデンティティと呼ぶことにします。

多くの人が甘い病気にかかった後や仕事をリタイアした後、事故で大切な存在や財産を失った後に人生観が変わる経験をするのは、このアイデンティティのバランスを自覚するからだと思います。

人生を生きる上で、この2つのアイデンティティのバランスがとても重要になります。どちらが善でどちらが悪とかそういうことではなく、バランスの問題です。

しかし残念ながら、この両方をうまく補完しつつ生きていくというのはとても難しく、このバランスを欠いて生きざるを得ない人が多いと見ています。

原因は様々ですが、例えば教育で言うと、我々は義務教育で9年間、高校や大学、専門学校などでさらに長い期間を教育機関で過ごします。しかしその間、相対的アイデンティティを育むような学問は毎日学んでいきますが、絶対的アイデンティティを育むような内容…例えば、一生付き合える友人との信頼関係の育み方や良好な夫婦関係の築き方などを一切学びません。結果、バランスが悪くなるのは仕方ないと見ています。

というわけで、バランスが悪くなった結果、どういうことが起こっているのか、アイデンティティが人生を決める構造をこれから何回かに分けて考えていきます。

アイデンティティが人生を決める②

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IQ155オーバーだが、自信があるのはEQ(心の知能指数)の方で、繊細な感受性の持ち主。 大学時代に週末はあらゆる大学生と人生を語り合うことに費やした結果、人を見下していた尖り切った人生から、人の感情を共感し理解する相談役の人生へとコペルニクス的転回を果たす。 これからの時代は感情の時代になると確信しており、感情のあり方が幸せに直結するとの考えから、複雑な感情の流れを論理的に整理することに挑戦している。 モットーは Make the invisible visible 詳しい自己紹介はこちら